2017年5月28日日曜日

鶴嶺小学校へ特別支援学級設置に関する陳情書について

平成29年3月16日に開催された茅ヶ崎市教育委員会定例会で、「鶴嶺小学校へ特別支援学級設置に関する陳情書について」という議題があり、平成29年5月22日、市のウェブページで会議録が公開されました。別の会議(平成29年第1回総合教育会議)の資料で陳情の内容自体も確認することができました。

私が今回の請願を提出するときに教育総務課の職員からこの陳情も「継続審議」だったことを聞いていたので話の内容も何となく想像はつき、会議録の内容も概ね予想通りでした。

「鶴嶺小学校へ特別支援学級設置に関する陳情書について」を提出した方はゆるやかな知り合いで、過去に私が教育委員会や市議会に働きかけをしたことがあるということで一度相談を受けたことがありました。たぶん継続審議になって黙殺される、市を行政訴訟で訴えて勝てば変わると思うが、行政訴訟は役所が圧倒的に強く、経験上裁判所は平気で法律すら無視した判決を出して役所を勝たせることを伝えていました。

それでもこの陳情の内容を見て市長も教育長もその他の職員も何とも思わないのか、自分たちの仕事はそれでいいと思っているのかとても頭にきました。

会議録の内容では、半数設置を目標とした合理的な根拠は何も示されておらず、平成26年度に半数設置を達成した後の新規の目標については話題にすら出ていません。

国の補助金(学校施設の大規模改造ということであれば文部科学省が所管する学校施設環境改善交付金)のうち、「障害児等対策施設整備工事」についてはトイレ改修工事などよりは文科省の優先順位は高いものと思われます。

設置までに3年かかるというのも怪しい話です。少なくとも施設のハード面で言えば前年度に施設整備計画のドラフトを都道府県に提出、4月下旬に都道府県から市町村に採択された事業について内定通知があって、内定のあった事業について施設整備計画書・交付申請書を提出。5月下旬に交付決定通知が届き事業実施。事業完了1か月以内又は翌年度の4月5日のいずれか早いタイミングで実績報告書の提出。続いて額の確定通知が届き、その2~3週間後には補助金の入金があるという流れです。

お金の話で言えば、文科省の学校施設環境改善交付金の補助率は1/3で決して十分とは言えませんが、補助を受けられない2/3についてはその75%の金額で地方債の起債が認められており、単年度予算で確保する必要のある一般財源の金額は全体の事業費の約17%で済むようになっています。また、制度上地方交付税の交付団体であれば(茅ヶ崎市も該当します)、地方債の元利償還金の一定割合までは基準財政需要額に算入でき、実際に市のお金から持ち出す金額はさらに減ります。

教育長の発言で「もう少し時間的な余裕がいただければ、さらに今後のことも含めて少し研究と協議をする時間をいただいたほうがいいのかなと思っています。」とありますが、私が前回の請願を出したのが平成23年でちょうど6年前です。その請願も「継続審議」から不採択になった記憶がありますが、その後特別支援学級の増設について何らかの議論が行われたとは聞いていません。単なる結論の先延ばしにしか思えません。

特別支援学級増設検討委員会の議論の内容も一切明らかにしていません。

これでは私は納得できません。

2017年5月27日土曜日

今回の教育委員会への請願と情報公開請求

今回、5月12日に提出した教育委員会への請願は5月18日の教育委員会定例会で審議されるということでした。結果は特に連絡がありませんが、おそらく今回も「継続審議」かと思います。

定例会でどのような議論があったのかは約2ヵ月後に公開されるはずの議事録で確認するとして、同時に提出した市議会への陳情がどうなるかも気にしていきたいと思います。下準備の一つとして、特別支援学級増設検討委員会の会議資料及び会議録の情報公開請求を5月26日に電子申請で行いました。

せっかく申請はネットで全て済むのだから、公開される文書もPDFでどこかのサーバーにアップしてくれればいいのに、制度的に閲覧か写しの交付(つまり紙でコピーして渡す)しかないようです。

開示を求めている資料はおそらく審議・検討事項そのものなので、かなりの部分が黒塗りになった上で開示されると思います。黒塗りが済んで準備ができると電話・文書で連絡が来るようです。郵便料金を何らかの方法で支払って(原始的な方法だと切手を貼った返信用封筒を送る?)開示文書の紙が複数枚送られてくることになるのでしょう。

さて、どのような文書が出てくるのか楽しみに待ちたいと思います。

2017年5月22日月曜日

特別支援学級増設検討委員会

やれることは全部やるということで、教育委員会に請願を出す前には学校教育指導課に立ち寄り、謎の組織「特別支援学級増設検討委員会」について話を聞いてきました。構成員は誰か、年間に何回会議をしているか、会議録を見せてもらうことはできるのか下話をしました。

今までそのようなことを言ってきた人はいない(この時は自分でも忘れていましたが、6年前に会議録の開示請求を自分自身がしていました)、審議会ではないので会議自体は公開していないが、会議は年間2回開催しており構成員は教職員と市職員とのことでした。

会議録について、茅ヶ崎市行政文書管理規則の第9条及び別表によると、「会議に関するもので軽易なもの」の文書の保存年限は1年、「会議に関するもの」は3年、「事業の計画及び実施に関するもの」は5年保存だということがわかっていましたので、少なくとも3年分はあるのではないかと伝えました。窓口で対応した職員は普段あまり行政文書管理規則を意識していないのか、3年の根拠は何かあるのか逆にこちらに尋ねてきていました。

また、会議録は公開するとしても一部非公開になる部分がある可能性があることも言っていました。情報公開条例第5条第3号「市の機関内部若しくは機関相互又は市の機関と国の機関、独立行政法人等、他の地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人との間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公開することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」に該当する部分があるということでしょうが、「不当に」という評価と知る権利とのバランスをどうとるかという話になるので、行政文書管理規則もろくに知らない職員が適切に開示・非開示の判断をできるとも思えません。

おそらく情報公開・個人情報保護審査会に不服申し立てをすることになり、さらに不満足な結果になれば訴訟も辞さないつもりです。今のうちからめぼしい判例を探しておきたいと思います。

2017年5月21日日曜日

茅ヶ崎市教育委員会への請願と茅ヶ崎市議会への陳情

平成23年度に採択された陳情に関して、採択の際の会議録が残っています。
陳情第8号市立小中学校に特別支援学級を設置することに関する陳情につき採決する。
 本件を採択すべきものと決するに異議ないか。
             (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長 異議なしと認める。
 よって、本件は全会一致をもって採択すべきものと決した。
 お諮りする。
 ただいま採択された陳情第8号につき、この処理の経過及び結果について報告を求めることに異議ないか。
             (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長 異議なしと認める。
 よって、報告を求めることに決した。
その後、「この処理の経過及び結果について報告」はどこでされたのか、それとも報告など全くされていないのかわかりません。少なくとも会議録を検索した限りでは何もなさそうでした。つまり、本件は議会の会議録に残っただけで、陳情の内容もどこを見てもわからない状態です。いわばネット上にただようちょっとしたゴミのようなものでしかありませんでした。

またゴミを増やすだけかもしれませんが、平成29年5月12日、再度教育委員会に請願、市議会に陳情書を提出しました。傍聴に行ったところであまり面白いものでもないので、それぞれの審議中も今回は普通に職場で仕事をしていると思います。

2017年5月20日土曜日

平成28年度の神奈川県内自治体の支援級設置状況

あらためて神奈川県が公表している学校統計要覧を精査したところ、平成23年度と比べると郡部の支援級設置が進んでいました。茅ヶ崎市は毎年最低の設置率を継続しています。

自治体名 学校数 支援級あり 設置率
県合計 1,264 1,199 94.9%
(3市以外) 1,153 1,139 98.8%
茅ヶ崎市 32 16 50.0%
清川村 4 2 50.0%
藤沢市 54 28 51.9%
鎌倉市 25 16 64.0%
中井町 3 2 66.7%
大磯町 6 5 83.3%
南足柄市 9 8 88.9%
相模原市 109 106 97.2%
平塚市 43 42 97.7%
横浜市 487 483 99.2%
川崎市 165 164 99.4%
横須賀市 69 69 100.0%
小田原市 36 36 100.0%
逗子市 8 8 100.0%
三浦市 11 11 100.0%
秦野市 22 22 100.0%
厚木市 36 36 100.0%
大和市 28 28 100.0%
伊勢原市 14 14 100.0%
海老名市 19 19 100.0%
座間市 17 17 100.0%
綾瀬市 15 15 100.0%
葉山町 6 6 100.0%
寒川町 8 8 100.0%
二宮町 5 5 100.0%
大井町 4 4 100.0%
松田町 4 4 100.0%
山北町 3 3 100.0%
開成町 3 3 100.0%
箱根町 4 4 100.0%
真鶴町 2 2 100.0%
湯河原町 4 4 100.0%
愛川町 9 9 100.0%

2017年5月19日金曜日

陳情は採択されても現実は何も変わらず

茅ヶ崎市ではその後、平成24年度に中学校2校、平成26年度に小学校2校と中学校2校に支援級が増設され、小中学校の合計で言えば半数設置の目標が達成されました。

うちの長女は本来の学区の小学校に支援級が設置されていないので、相変わらずやや遠い小学校に母親と一緒に通学しています。平成28年度からは次女が地域の小学校に入学したので、姉妹で別々の学校に通うという状況になりました。たまたま運悪く茅ヶ崎市に住んでいるために、茅ヶ崎市行政の不作為のためです。

細かいところでは子供会のエリアは小学校区が基礎となっているので、長女が入っても知っている子がいないこともあり不参加にしていました。次女は友達もいるので子供会に入
り、そんなところでも小さなイライラはたまっていました。

平成28年度の運動会は、長女の小学校と次女の小学校で開催日が偶然1週間ずれました。2週連続で大変でしたが家族揃って運動会を見に行くことができました。

今年(平成29年度)は長女の小学校と次女の小学校の運動会が同日に開催されることがわかりました。つまり、家族揃って見に行くことができません。親の仕事の都合で見に行けないのではなく、市の不作為によってこのような状況になりました。これは差別としか思えません。

平成23年度にいろいろ働きかけて何か達成したようなつもりになっていたのですが、あらためて市議会の会議録等を調べてみたところ、何も進歩していないことがわかりました。議員さんからの一般質問でもそれほど厳しい内容もなく、ただ何となく6年が経過したようです。

6年たっても支援級の設置は半数で止まっていてそれ以降の目標は明らかになっていないし、相変わらず神奈川県内での支援級の設置率は最低のままです。近隣の寒川町はこの6年の間に支援級の全校設置を達成していますし、藤沢市鎌倉市も全校設置を目標として計画的に進めていくことを明言しています。神奈川県内の自治体では清川村の特別支援学級設置率が茅ヶ崎市と同じ50%ですが、学校の規模自体が小さく単純比較ができないことを考えると茅ヶ崎市だけが特別支援学級の全校設置ができておらず、目標設定もしていないことがわかりました。茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市を除いた神奈川県内の公立小中学校の特別学級設置率は約98.8%で、事実上全校に支援級があるといっても過言ではないでしょう。

そんな中、茅ヶ崎市だけが無為無策のままです。

できることは何でもやろうと思いました。

2017年5月18日木曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その6

私が茅ヶ崎市教育委員会や茅ヶ崎市議会に請願や陳情を出して問題提起をしていたのと同じような時期、近隣で拠点校方式を採用していた藤沢市、鎌倉市、寒川町にもたまたまなのか関連するような動きがありました。

鎌倉市

  • 鎌倉市は、議会答弁で、教育総務部長が「拠点校方式からなるべく地域の中でやっていく方向へ見直し」と発言
  • 鎌倉市では、特別支援学校の全校設置を求める陳情については委員会で継続審議となり、議員提出の議会議案による同様の趣旨の決議は本会議において全員賛成で採択

藤沢市

  • 藤沢市は、2011年4月に策定した新総合計画中、「特別支援学級設置計画に基づき、特別支援学級の未設置校における開設」と全校設置を計画

寒川町

  • 寒川町は、議会答弁で、教育長が「学区内でご希望されるお子さんがいる限り、設置の方向で進めていく、これが教育委員会の方針」と発言

以下、当時調べた関連する情報です。

教職員組合の考え

  • 拠点校方式の3市1町を所管する湘南教職員組合の淺野執行副委員長(当時)に組合の考えを伺ったところ、理想は障害のあるなしに関わらず普通学級で必要な支援を受けながら学ぶことだが、現状では体制が整っていないので要望に応じて地域の学校に特別支援学級を設置することが望ましいとのこと

財政面の負担

  • 財政面では、平成23年度は震災の影響で文部科学省の補助金が大幅に絞られておりほとんどの事業が内定を受けられていないが、障害対応の事業は耐震事業と同様に例年通り内定を受けている(政府の優先順位も非常に高い)
  • 障害対応の改修工事は、文部科学省の「学校施設環境改善交付金」により事業費(工事費+実施設計費+監理業務委託費)の1/3補助、さらに残りの2/3について75%起債が認められることから、一般財源への影響は事業費の1/6
  • 特別支援学級を増設することで校舎の増築が必要な場合、文部科学省の「公立学校施設整備費負担金」により事業費の1/2補助、残りの1/2について75%起債が認められることから、一般財源への影響は事業費の1/8
  • 地方交付税の交付団体(茅ヶ崎市も交付団体)であれば、起債の償還にかかる元利償還金の一定割合まで基準財政需要額に算入が認められ、実際の市の負担はさらに少なくなる

各市町の議会答弁等から要約・抜粋します。

鎌倉市
平成22年9月7日 文教常任委員会
教育指導課長 一人ひとりの能力を伸ばしてあげる個別指導と、通常学級の子どもたちとコミュニケーションをとる能力の両方とも重要。今後はできる限り、地域の中に特別支援学級をつくっていき、両方が目指せるような特別支援教育を進めていきたい
教育総務部長 検討会の中でも今まで拠点校方式でやっていた方式を見直していこうと検討も進めている
教育指導課長 すべての学校について検討していく

藤沢市
平成21年9月15日 9月定例会 大塚洋子議員の質問に対する答弁
教育総務部長 今後、学区の児童生徒が学区の学校へ通うという考え方のもと、新総合計画に位置づけ、計画的に設置を進めてまいりたいと考えております

寒川町
平成22年12月2日 第4回定例会 村田桂子議員の質問に対する答弁
教育長 特別支援学級の今後の見通しは、21年度に一之宮小学校に設置、23年度は旭が丘中学校に設置の見込み。今後もその学区内でご希望されるお子さんがいる限り、設置の方向で進めていく、これが教育委員会の方針でございます

2017年5月17日水曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その5

継続審議になった市議会の陳情でしたが、教育委員会とは違い市議会議員の連絡先は一般に公表されています。どうすれば採択してもらえそうかも含め、直接話をしてみようと思いました。

そこで、当時の総務常任委員会の議員さん全員に連絡して、アポイントが取れた方全員と直接会って話し、有用なアドバイスもいただくことができました(全くお返事をいただけない方もいらっしゃいました)。

6月に出した陳情では、「学区内に通学を希望する障害児がいる場合には必ず特別支援学級を設置して対応」としていました。議員さんとしては、「必ず」というのがひっかかったようでした。一度に多数の支援級の設置を求められても予算などの諸事情で実現不可能なことは明らか、実現不可能なことが明らかな陳情を通すのには抵抗がある、というようなお話だったと思います。

もう少しトーンダウンした内容に直せば採択される可能性が高いことがわかったので、継続審議となっている陳情をいったん取り下げ、「特別支援学級が設置されていない学校の学区内において、本来の学区になっている学校への通学を希望する障害児がいる場合には、可能な限り特別支援学級を設置して対応」に直して再提出しました。

全文は以下のとおりです。
市立小中学校に特別支援学級を設置することに関する陳情
1 陳情の要旨
 現在、茅ヶ崎市では、市立小学校18校中12校、市立中学校13校中10校に特別支援学級が設置されていません。学齢期の障害児が特別支援学級のない学校の学区に住んでいる場合、近所の友達や兄弟とは別の遠くの学校に通うことになり、送迎に保護者の負担もかかります。
 そのため、特別支援学級が設置されていない学校の学区内において、本来の学区になっている学校への通学を希望する障害児がいる場合には、可能な限り特別支援学級を設置して対応するよう茅ヶ崎市教育委員会に働きかけていただきたく、陳情いたします。
2 陳情の理由
 7月29日に国会で可決・成立した改正障害者基本法第3条第2号には「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあり、同法第16条第1項には「国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。」、第2項には「国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。」とあります。障害者基本法の趣旨からも、現在の茅ヶ崎市の状況は望ましい状況ではありません。
 なお、神奈川県が公表している資料によると、茅ヶ崎市と同様の状況にあるのは茅ヶ崎市のほかには鎌倉市、藤沢市、寒川町だけで、それ以外の市町村、別の言い方をすれば神奈川県内で人口比9割以上の市町村では障害児が地域の小中学校に通うことができていることを申し添えます。
市議会は3ヶ月ごとに開かれています。この陳情は平成23年9月の定例会で議論され、今度は無事に採択されました。

ですが、「可能な限り特別支援学級を設置して対応」というのは、市が「できない」と思えば「やらない」ということで、現状追認にしかなっていません。自分でも手ぬるいと思います。

2017年5月16日火曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その4

教育委員会への請願は何も爪あとを残すことができず。市議会への陳情は平成23年6月定例会の総務常任委員会にて審議され、継続審議となりました。

当時の学校教育指導課長の答弁で、「湘南地域の一つの茅ヶ崎市として、特別な配慮を必要とする児童・生徒をできるだけ通常級で他の子供たちと一緒に育てていく考えがあり、それが学校や保護者にも支持されて、その後、長い間、増設という方向に進んでいなかったのが現状である。しかし、茅ヶ崎市として、増設を行わない方針であるかのような誤解を招くことのないように、昨年より拠点校方式という名称は差し控えている。」とありますが、個人的な主観に基づく答弁かと思います。

現行の制度の条件下では特別支援学級で学ぶことが適当と思われる児童生徒について、茅ヶ崎市が普通級で一緒に育てていくために必要な特別な対応を何かしているのであれば、私もこのような陳情は行わず、むしろ「茅ヶ崎市の公立小中学校から特別支援学級をなくす陳情」をして、市内の全校から特別支援学級をなくしてみんなが同じ教室でともに学び合う環境を実現して欲しいと思ったことでしょう。

ですが、私が知る限り、茅ヶ崎市にそのような施策は何もありません。個人的に統合教育に理解のある先生は大勢いらっしゃるものと信じていますが、制度的に「特別な配慮を必要とする児童・生徒をできるだけ通常級で他の子供たちと一緒に育てていく」具体策が何かあるのであればどなたか教えていただきたいものです。

役所の悪いところで、何とか自分たちを正当化しようとしてとんでもないことを言い出すことがあります。悪いところは率直に謝る、反省すべきは反省するというのは大人でもとても大切だと思います。

なお、この陳情は当時のタウンニュースでも取り上げていただきました。こういう問題がある、ということを知ってもらうだけでも意味があると思うので、本当に感謝しています。

2017年5月15日月曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その3

自分の地区の小学校に支援級がないことはわかりましたが、自分が職員として働いている市のように「希望する児童生徒がいることが判明した以上、必死に環境整備を進めて支援級を開設する」ことがそれほど特別なこととは思えないので、すぐに実現するかどうかは別として市に何らかのアクションを起こすこと(電話や窓口で大声で騒ぐのではなく、あくまで紳士的な方法で)が必要と感じました。

具体的には市教育委員会への請願、市議会への陳情を同時並行で進めました。

市教育委員会への請願は茅ヶ崎市教育委員会会議規則第19条に規定があり、具体的な書式例などの例示はありませんでしたが議会への陳情に順ずるものと想定して書類を準備しました。

市議会への陳情は茅ヶ崎市議会会議規則第145条に規定がある他、市議会のウェブページにも手続き上の注意事項が記載されていたので参考にしました。文書の内容は教育委員会に提出したものとほぼ同一の内容でした。

以下、市議会への陳情の文章を引用します。
市立小中学校に特別支援学級を設置することに関する陳情
1 陳情の要旨
 現在、茅ヶ崎市においては、市内の特定の数校のみに特別支援学級を常設するいわゆる拠点校方式が採用されています。たまたま学齢期の障害児が特別支援学級の設置されている学区に住んでいれば問題ありませんが、そうでない場合には遠くの学校に通わなければならず、送迎に保護者の負担がかかり、近所の友達や兄弟と別々の学校に通わなければならないという問題もあります。
 以上の問題から、拠点校方式をやめ、全ての市立小中学校において、学区内に通学を希望する障害児がいる場合には必ず特別支援学級を設置して対応するよう茅ヶ崎市教育委員会に働きかけていただきたく、陳情いたします。
2 陳情の理由
 障害者基本法第8条には「障害者が、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならない」とあり、同法第14条においては「地方公共団体は障害者の教育に関する調査及び研究並びに学校施設の整備を促進しなければならない」、「地方公共団体は障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない」とされています。障害者基本法の趣旨からも、拠点校方式は望ましい方式とはいえません。
 なお、神奈川県内の他自治体の状況を見ても、神奈川県が公表している資料(平成22年度公立小・中学校及び県立高等学校(全日制・定時制)の児童・生徒数及び学級数一覧)を見る限り、茅ヶ崎市と同様の拠点校方式を採用しているのは茅ヶ崎市のほかには鎌倉市、藤沢市、寒川町だけで、それ以外の市町村、別の言い方をすれば神奈川県内で人口比9割以上の市町村では障害児が地域の小中学校に通うことができていることを申し添えます。
教育委員会への請願は毎月開催されている定例会で議題となり審議されます。審議は原則公開のため議論を見守りたいと思い仕事を休んで傍聴に行きました。

茅ヶ崎市には「特別支援学級増設検討委員会」という庁内検討組織があり、教育委員会の結論としては「特別支援学級増設検討委員会」の議論を見守るということで継続審議になりました。請願の内容はむげに否定もできず、かといって可決することもできない(したくない)というところで、おおかた予想通りでした。なお、この後正式に不採択になったような記憶がありますが、教育委員会では埒が明かないと思い議会への陳情の対応にシフトしたため最終的な結果は覚えていません。

質疑としては、現状で小中学校それぞれ何校に特別支援学級が設置されているか、今後の増設の予定はどうか、何人利用しているか、全校に特別支援学級を設置した場合のメリットは何か、現状の拠点校方式のメリットは何か、利用者がどの学校に行くのかをどのように決めるのかといった質問が出て、それぞれ学校教育指導課長が答えていました。

なお、「特別支援学級増設検討委員会」は校長先生と教育委員会事務局で構成しているそうですが、茅ヶ崎市役所のウェブサイトで検索してもそういう会議があるということが間接的にわかるだけで会議の設立根拠や構成員や開催の頻度、会議資料や会議録等が一切不明な組織です。

このときにも会議録の開示請求をしたような記録が手元に残っており、一度は審議検討事項で非公開とされながら審査請求書を送ったところ正式な審査会への諮問手続きを経ずに開示されたようなことがあったようです。資料がすぐに出て来ず詳細は不明です。

そもそも、特別支援学級増設検討委員会には本来は利用者の立場から支援級の親の代表や、茅ヶ崎市在住で養護学校通学の親の代表、学齢前の障害児が通うつつじ学園利用者の親の代表などがそういう会議に入っているべきかと思いますが、茅ヶ崎市行政にはそのような発想はないようでした。

2017年5月14日日曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その2

私は他市で市職員をしており、たまたま教育委員会で小中学校の施設担当だったことがあります。

神奈川県内の自治体では、当時でも特別支援学級は全校に設置されている方が圧倒的に多い状況でした。一部の学校だけに特別支援学級を設置して、本来の学区に関係なく支援級への通学を希望する児童生徒を集約するいわゆる拠点校方式をとっていたのは茅ヶ崎市の近隣では藤沢市・鎌倉市・寒川町ぐらいのものでした(たまたま湘南教職員組合のエリアと一緒でした)。その他、郡部の町村における設置率も軒並み50%程度でした。

神奈川県教育委員会が毎年公表している学校要覧の平成23年度版(平成23年5月1日現在の数値)をまとめると、以下の表のとおりです。県全体でも92.5%の学校に支援級があり、特異な状況となっていた茅ヶ崎市・藤沢市・鎌倉市・寒川町を除いた設置率は当時でも97.7%ありました。

自治体名 学校数 支援級あり 設置率
県合計 1,274 1,179 92.5%
(3市1町以外) 1,155 1,128 97.7%
茅ヶ崎市 32 10 31.3%
藤沢市 54 25 46.3%
鎌倉市 25 12 48.0%
寒川町 8 4 50.0%
山北町 6 3 50.0%
真鶴町 2 1 50.0%
清川村 4 2 50.0%
大磯町 6 4 66.7%
松田町 4 3 75.0%
箱根町 4 3 75.0%
南足柄市 9 8 88.9%
三浦市 12 11 91.7%
伊勢原市 14 13 92.9%
相模原市 109 104 95.4%
小田原市 36 35 97.2%
横浜市 493 485 98.4%
川崎市 164 164 100.0%
横須賀市 70 70 100.0%
平塚市 43 43 100.0%
逗子市 8 8 100.0%
秦野市 22 22 100.0%
厚木市 36 36 100.0%
大和市 28 28 100.0%
海老名市 19 19 100.0%
座間市 17 17 100.0%
綾瀬市 15 15 100.0%
葉山町 6 6 100.0%
二宮町 5 5 100.0%
中井町 3 3 100.0%
大井町 4 4 100.0%
開成町 3 3 100.0%
湯河原町 4 4 100.0%
愛川町 9 9 100.0%

私が勤める市でも支援級は原則全校に設置されており、比較的小規模で支援級への通級を希望する生徒がいなかった学校に新年度から支援級ができることが決まると大慌てで予算をかき集めて環境整備を行ったものです。設置率が50%を超える自治体はどこも同じような対応だと思います。支援級への通級を希望する児童生徒を断る、別の学区の学校に行ってもらうなどという発想は全くありませんでした。




2017年5月13日土曜日

平成23年当時の茅ヶ崎市の状況 その1

茅ヶ崎市の公立小中学校には一部の学校にしか特別支援学級がありません。これには市内に県立の茅ヶ崎養護学校があることが影響しているのかもしれませんし、その他にも過去の経緯があるとは思いますが詳しいことはわかりません。

私の長女は知的障害があり、平成23年4月に小学校に入学しました。現行の制度上、必要な支援が得られそうにない普通級へ通わせるよりは特別支援学級へ通わせることを希望しました(究極的には普通級も支援級も養護学校もなくなることが当然だと思いますが、残念ながらまだまだ時間がかかると思います)。

長女を支援級に通わせるにあたって具体的に困ったことは、自分の住んでいる学区の小学校に特別支援学級が設置されていないことで、必然的にやや遠めの学校に通わせる必要がありました。

うちの近所には少しずつ年齢の異なる子供たちがいて、同じ小学校に通うのであれば一緒に通学することもありえたと思いますが、実際には母親が毎日の登下校に付き添う必要がありました。